AIを投資テーマに
2026.09.27 (日) 7:40 AM
・NISAの口座が増えている。何に投資しているのだろうか。AIブームの中で、自分の投資はその恩恵を受けているのであろうか。株式投資をしている人としていない人、AI関連に投資している人としていない人で、金融資産に大きな違いが生まれている。でも、あせる必要はない。AIが本物なら、これからである。
・今からキオクシア、東京エレクトロン、村田製作所、などに投資できるだろうか。成長企業として持続するならば、投資タイミングは十分ある。でも、これだけ急騰し、反動も見られると、値嵩株だけに投資しにくいと感じてしまう。
・ETFならどうか。AI・半導体関連なら、日本株はマイナーである。米国を中心とする世界のAI・半導体企業に投資する方がはるかに有望であろう。でも、AI相場はすでにバブルではないのか、という懸念もある。ここをどう考えるか。
・新しいイノベーションが起きると、その夢を先導役にして、特定の企業の株が上がる。将来への期待だけで、ストーリーが作られていく。では、それがビジネスになるか。
・業績が予想できるようになると、そこで、次の期待が生まれる。そして業績が顕在化して、儲けがはっきり分かるようになる。ここで、その業績を織り込んでいく。
・この3段階において、3つのパターンがある。第1は、最初のステージだけで終わってしまう材料株相場である。夢はあったが、事業としては進展しなかった場合である。株は暴落して元の水準まで戻ってしまう。
・第2は、イノベーションをビジネスモデルとして具体化して、事業投資が本格化する時である。投資先行相場である。大型投資になればなるほど、リスクが高そうにみえる。企業サイドは自信を持って、投資計画を語り、資金調達を行う。この投資がうまくいくことを期待して株価上昇するケースと、その投資を信頼できずに様子をみてしまうケースがある。
・第3は、事業投資がうまくいって、売上に見合って、利益が出てくる局面である。この時も、1)市場の伸びや競合の状況によって、計画ほど利益が出てこない場合と、2)市場が大きく花開き、業界のトップリーダーとして、空前の利益がでてくる局面がありうる。
・株価は、ホップ・ステップ・ジャンプと、イノベーション、トレンド、成長カーブを読んでいく。投資家としては、このイノベーションにどのように乗っていくか。リスクをとらなければ、リターンはない。すべてが分かってしまってからでは遅い。AIイノベーションは今どの局面にあるのだろうか。
・米国のSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)をみると、2025年後半からの上昇要因は圧倒的に業績要因(EPSの増加)であり、成長期待要因(PERの増加)は、さほどでもない。エヌビディアもキオクシアも業績が急拡大している。その意味では単なる期待先行ではない。
・今年6月にスペースXがIPOをした。これからオープンAIやアンソロピックも上場してきそうである。かつて、マグニフィフセント・セブン(MAG7)も上場したての頃、ろくに利益が出ない時期があった。それでもフェーズ2を乗り切って、フェーズ3の花を咲かせた。
・株式市場のインデックスは、その市場を代表するが、よくみると国全体の動きとはかなり乖離している場合がある。日本の上場企業は、かつて製造業のウエイトが高かった。日本のものづくりの良さが、株式市場で先行していた。
・日本経済全体では中堅中小のサービス企業のウエイトが高く、ここの競争力の弱さ、生産性の低さが課題となり、上場企業との間にギャップがあった。
・現在、S&P500のインデックスをみると、マグニフィセント7など、トップ10社で時価総額の4割を占めている。大型IPO期待の3社が入ってくれば、このウエイトはもっと拡大してこよう。
・米国市場を代表するインデックスの半分がAI関連となってくるとすると、これは米国経済と乖離しており、市場の代表性にも歪みがでてくるのではないか、という見方もあろう。
・ところが、そうともいえない。これらのAI関連企業のサービスが、ほとんどの産業分野や消費分野で使われるようになれば、それが全企業に大きく波及してくるからである。よって、S&P500が産業構造の変化を先取りしていくという見方もできよう。
・東大の松尾教授は、日本の17の成長戦略分野の1つにAIが入っているようにみえるが、そうではなく、AIは他の戦略分野のほぼすべてに関わってくると強調する。
・どの既存領域においても、これからの成長領域においても、AIは3つの経路を通して、付加価値の向上に寄与してこよう。この付加価値の向上は、企業でいえばいずれ利益の拡大となり、日本全体でみればGDP(国民の総付加価値)に結び付く。
・付加価値=1人当たり付加価値×人数=1人当たりAI装備×AI付加価値率×人数となる。つまり、AIにどのくらい投資して、そのAIを使って人がどのくらい効率を高めるか。さらに、効率だけでなく、新しい価値を生み出すか、にかかっている。
・日本の製造業もサービス業もAIの活用によって、価値創出力を大きく高めることができよう。当然、価値の取り合いも含むので、競争の中で企業淘汰は進もう。落ち込む企業もあろうが、伸びる企業に注目したい。
・人材は伸びる領域にシフトしていくし、その中でリスキリングが求められる。人口が減少しても、1人当たり付加価値をAI活用で高められれば、私たちのウェルフェア(福祉)や、ウェルビーイング(幸福度)は向上していこう。
・とすると、長い目で見ていけばよいので、AIの個別企業に一喜一憂する必要はない。NISAは口座数が2826万口座(2025年末)、現役世代(18~64歳)の約4割が加入している。2025年の年間買付額は18兆円、累計買付額は71兆円となっている。
・モーニングスターのレポートによると、2026年1Qの公募投信(日本)の純資金流入はNUSA対象で5.6兆円(前年同期4.4兆円)で、その上位ファンドは第1位オール・カントリー(オルカン:eMAXIS Slim 全世界株式)、第2位S&P500(eMAXIS Slim米国株式)で、この2つで1.8兆円の純流入があった。
・この他にも、AIテクノロジーに関連したテーマファンド「マテリアル・イノベーション戦略株式ファンド」も6位に登場した。
・NISAを積立型で実施し、オルカンやS&P500、テーマ型ファンドなどを選択していれば、AI関連の大きなトレンドを自らの金融資産に組み入れていくことができる。これによって、パフォーマンスにも一定の効果が期待できよう。
・問題はNISAに入っていない人達である。さらにNISA口座を作っても、まだ稼働していない人が3割いるという。NRIのレポート(金融ITフォーカス2026年4月号)によると、NISA普及の中心は30代、40代であるが、まだ格差があると分析している。
・1)県別でみた地域格差が大きい、2)その要因として、年収、勤務先、ライフステージの違いがある、3)普及拡大には、エリア別の方策が重要である、と指摘している。
・投資領域のマーケティングにもAIが使えそうである。誰もが、AIを使う時代が始まっている。AIを投資テーマに、身近な活用事例に注目しつつ、投資の深掘りをしていきたい。
