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洞察力のあるリーダーはいかに

   2026.05.05 (火) 7:54 AM

・いつの世も先行きは不透明で分からない。でも、少しでも先行きを見通したい。確実にわかっていることもある。いかに予測可能性を高めるか。変化への期待は絶えず持ちたい。

・ついあきらめたくなるが、まずは行動することである。その前に活発に行動している人を観察することも大事であろう。昨年11月の世界経営者会議で感じたことをいくつか取り上げてみる。

・今はリーダーにとっても苦難の時代であろうか。リーダーは新しい時代を切り拓いていく。苦しくても、それを楽しさに変えていく。大半の人はフォロアーであるが、常によきリーダーを求めている。力のないリーダーや偏屈なリーダーを担ぐと、自らも苦しむことになる。リーダーはどうやって育つのか。

・リーダーは先を読めるか。強い思いは持っているので、それを構想して形にしようとする。新しい形を創ろうとする。イノベーションに取り組む。無茶で、出来そうもないことに挑戦する。本人はできると思っているが、周りから見ると無茶に見える。でも一人では実現しない。仲間を募り、組織化していく。人材を集める必要があり、面白そうだと人は集まってくる。

・マイクロソフト(MS)は創業50年、生き延びてきたし、勝ち残ってきた。AI時代も先頭グループにいる。Windowsが出て30年、AIの普及ははるかに速いペースで進んでいる。OpenAIは6年前から兆しがあり、3年前にブレークした。今やAIは使うのが当たり前になりつつある。

・AIを使うのは現場である。B to Cでも、B to Bでも利用する現場が、AIの価値を実感できなければ本物とはいえない。欲しいのはソリューションであるから、現場の働き方もガラッと変わってこよう。新しい働き方に組織を改変していくのは、トップマネジメントのタスクである。

・トレンドを見据えて、現場のマイクロディテールをよく見て、ビジネスモデルを革新していく。こうした経営がしっかりできるか。日本企業にも大いにチャンスはあろう。

・台湾のホンハイ(鴻海科技グループ)はどのように生きていくのか。EMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託製造サービス)の企業として、iPhoneの受託生産、任天堂スイッチの受託生産、生成AI用サーバーの受託生産など、EMSで黒子に徹してきた。

・地政学的リスクは常にある。ホンハイはコストを重視しながらも、各地域にオペレーションの拠点を作ってきた。30年前アップルの生産は100%中国であったが、今は65%に下がっている。ベトナム、インド、メキシコでの生産が増えている。

・中国の1人当たりGDPが1000ドルから1万ドル以上に上がっているので、生産がシフトするのは経済的にみて当然である。労働集約型の生産システムに依存する面が強いので、十分な労働力があって、その国の政府の支持も必須である。

・2016年にシャープを子会社化した。日本は品質を最重要視する。しかし、スピードに重きをおいていない。そこで、日本の品質と台湾のスピードを組めば、新しい競争力が生まれるはずと見ている。

・今や生成AIがイノベーションを起こしている。業務の効率化はもちろんであるが、ゲームチェンジを巻き起こすという点で、ビジネスモデルの破壊(ディスラプション)をもたらす。マーケットへのアクセスとコストという点で大改革が起きよう。ホンハイはEVのEMSでも旋風を起こそうとしている。

・後継者はどうやって育てるのか。創業者はカリスマであり、特別な能力を有しており、ワンマンである。では、その次の経営者をいかにプロに仕立てるか。会長室のローテーションを行っているという。

・1年単位のCEOを置いて、とにかく必死で働いてもらう。経営の経験を積み、視野と判断力を磨いてもらう。そして、元の部署に戻ってもらって、経営力のレベルアップを実践する。その中から次の人材を見出していく。確かに有力な方策であろう。

・想定外をいかに想定して、備えておくか。起こりそうもないことが起きる。それが自社にとって致命的となる。有事の時にどのように行動するのか。それまで手を打って、サバイバルに向けて全力投球するしかない。

・マーケットからみて、なくてはならない企業であるか。必須の商品サービスを提供して、支持が得られていれば、乗り切ることが出来よう。その時の財務基盤が盤石であることも必要である。事業ポートフォリオも、収益性のある分散型である方がよい。集中特化はいざという時に危うい。

・「集中と選択」で絞り込めばよいというわけではない。反対に、できそうだからといって、手を広げればよいというものでもない。多角化のあり方が問われる。コアの既存事業でも、立ち上げ期の新規事業でも、まずはイノベーションによって、真似できない仕組みをビルトインすることが求められる。そうでなければ、収益性はついてこない。

・企業のパーパス、事業のコンセプトを見直して、共通性の中にわが社独自の価値を再定義していく必要がある。例えば、富士フィルムは‘笑顔をつくる’ことにした。ロレアルは‘ビューティカンパニーになる’と決めた。コスメか美容かではない。化粧品を増やすことでもない。未来は個別化(パーソナライゼーション)にある。美を追求して、企業を一新した。

・新しいパーパスを作ると、視野が広がる。従来の同業他社が競争相手とは限らない。業界の外に新しいコンペティター、ベンチマークすべき企業が見えてくる。できるだけ異質の企業の方が、視野が広がりそうである。

・ヒントはAIで出てくるか。新しい発想は人の方が向いているかもしれない。しかし、飛んだ発想とじっくり見定める洞察力の双方が必要であろう。

・地政学リスクは10年くらいの長期スパンでみていく必要がある。その時はとんでもないリスクにみえても、振り返ってみると対応策はあった。何れ収まることもあるが、大打撃ともなることがある。それを乗り越える手を絶えず打っていく必要がある。

・変化はチャンスである。リスクマネジメントが成長につながる。不確実性をよく見て、リスキーシチュエーションに変えていく洞察力を養いたい。よく分からない不確実ではなく、いくつかの場面に分けて、その起こりうる内容と起こりそうな可能性を想定する。そうすると、想定外が想定内の場面となってくる。

・優秀な企業経営者はこのような洞察力を踏まえて、最終的に直観力を働かせている。そういうトップのいる企業に投資したい。

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