ホーム > ブログ一覧 > 地政学リスクを乗り切るには

地政学リスクを乗り切るには

   2026.06.08 (月) 7:37 AM

・いかに折り合いをつけるか。話し合いによって、利害調整ができればよいが、そうはいかない。国際ルールは、その時の課題に折り合いをつけるために、大国がリードして作ったものである。

・大国の正義をもとに公正なルールとなっているが、当然大国に有利なものとなる。遅れてきた新興国にとっては、不利なことも多いが、受け入れざるを得ない。ゲームのルールに乗らなければ、そのマーケットに参入できない。

・環境が変化して、せっかく作った秩序が乱れてくる。ルールが現実に合わなくなってくる。特定国が著しく不利になってくる。競争力の変化を受け入れられなくなると、まずルールの変更を図ろうとする。

・それには時間と手間がかかる。それが嫌となると、新ルールを出して、古いルールを上書きしようとする。当然、これまでのルールとの間に摩擦が起きる。それが外交で何ともならない時、紛争に発展する。

・必ず裏がある。政治的利権、経済的利権のせめぎあいとなる。紛争の最後の解決手段は力に訴えることである。大義名分を掲げながら、戦争に持ち込む。仕掛ける国と、仕掛けられる国、当然勝つつもりであり、勝ち方がある。しかし、多くの場合、思い通りにいかない。社会的、経済的な被害が戦争による利得を相殺してくる。事態は次の局面に進む。

・今のところ核抑止が圧倒的に有利である。核があれば、戦争はしかけられないという不文律が機能している。大国に対抗し、自立するには核を持つしかない。北朝鮮やイランは、その方向に動いた。イスラエルと米国は、イランの核保有を絶対に許さないとして、先制攻撃に出た。

・国際ルールなど問題外である。先制攻撃でどこまで徹底的に叩けるか。自国に犠牲が少ない勝利を短期で手に入れる。そのために最先端の武器システムを使って、作戦を遂行する。戦争のカタチを大きく変えている。

・所詮は力である。戦い方は力の使い方である。それでも、大国が勝てるとは限らない。民族、宗教が絡んでくると、負けていても降参しないので、犠牲は増え、消耗戦となってくる。これがえん戦気分を助長してくると、勝者と敗者があいまいになってくる。

・死者が1万人か、10万人か、100万人かによって、事態の深刻さが決まってくる。戦闘が1ヶ月か、1年か、10年かによっても局面は変わってくる。10年戦争はどの国も耐えられない。

・戦争は強国の入れ替え戦である。世界の核保有国は9カ国、NPT(核不拡散条約)で認められた国(米、ロシア、英、仏、中国)と、それ以外のインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮である。また、ベルギー、独、伊、オランダ、トルコ、ベラルーシには大国の核が配備されている。日本は、核の配備はないが、米国によって守られている。

・強国の入れ替え戦で、これからも核は抑止だけであって、実際に使わないのか。状況次第では怪しい。先進的な防衛力の強化は必須である。核の保有、非保有というレベルだけで、安全保障は論じられない。もっと緻密な戦略、実効的な戦術を備える必要があろう。

・軍需関連産業は、これから大きく伸びよう。同時に、軍需関連企業の拠点は攻めの対象となることも覚悟しておく必要があろう。自らの企業、拠点をどのように守るのか。その防衛システムの確立も求められる。

・地政学的リスクを心配すると、危なくて投資などできない、常にリスクオフしかない、と思うかもしれない。だが、そんなことはない。国ごとの経済力、軍事力、文化力に絶えず不均衡は生じる。それに折り合いをつけながら、生きていく。

・米国は、覇権をいかに維持するか。中国は国内の構造問題を克服できるか。ロシアはウクライナでの消耗戦を終わらせるか。イランは体制の崩壊に至るのか。いずれも容易ではないが、経済システムが大混乱に陥るほどではない。

・トランプの攻めは続く。ベネズエラ、イラン、グリーンランドなど、いずれも中国への対抗力を含めている。一方で、マーケットも大事にしているので、不安定化は常に避けようとする。

・日本はどうか。30年来の低迷を脱して、活性化している。少子高齢化で人手不足、成長の制約要因が課題であることは分かっている。どのような手を打てばよいか。企業の余剰資金、株式市場の資金調達機能を活かして、投資を遂行することである。政府は呼び水としての成長投資に力を入れることを明言している。

・CGC(コーポレート・ガバナンス・コード)は企業を活性化させ、SSC(スチュワードシップ・コード)は運用業界を活性化させている。株式持ち合いの減少でガバナンス構造が変わっている。企業のやる気は高まらざるをえない。投資がうまくいけば、ROEを高めることができる。当然、成長期待としてのPERも上がってこよう。

・インフレの時代に企業はどのような経営を行うのか。コストカットではなく付加価値の向上を図ることが第一義的となろう。若い後継者へのバトンタッチが急がれる。人材はいるので、新陳代謝が求められる。

・東証の改革は、目を見張るものがある。日本取引所グループの山道CEOの手腕は成果を上げている。2035年に向けて、次の10年の道筋を作ろうとしている。成長のための投資、それを遂行する企業にフォーカス、企業価値の向上に投資して、投資家のリターンもますます実感できるようになろう。

・大手運用会社のCIOは、企業間格差が広がる中で、変革企業が続出してくることを期待している。よって、アクティブ投資のパフォーマンスがパッシブのそれを上回るような、プロのファンドマネージャーの時代になると注目している。これはおもしろい。

・中長期に価値向上を図る企業が見出し易くなるとは頼もしい。地政学リスクを乗り切って、成長する企業に大いに投資したい。

 

Blog Category