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人的資本の可視化

   2026.07.20 (月) 2:36 PM

・人的資本とは何か。人を資本とみる。資本とは企業活動を行う時の元手である。昔から、ヒト、モノ、カネ、情報が大事な元手であるといわれてきた。それぞれが、バラバラでは力が生まれない。

・何らかの価値を生み出し、それが社会から必要とされ、お金を支払ってくれるから、事業として成り立つ。事業として成り立たなければ、継続できない。

・では、ヒトはどのようにして資本となりうるのか。人的資本というのは、「存在としてのヒト」のほんの一部しかみていない。企業にとって役立つ能力にフォーカスし、その実積をみて対価(報酬)を支払う。

・能力はさまざまである。個別にみることもできれば、全人格的なものもある。いずれにしても、企業という組織からみた人的資本であるから、「存在としてのヒト」を評価するわけではない。

・今年1月に、政府から「人的資本可視化指針(改訂版)~投資家の期待に応えるための人的資本開示~」が公表された。その内容は、1)経営戦略と人材戦略を連動させよ、2)そのためには、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標を的確に定めて開示せよ、というものである。

・一律ではない。各企業の創意工夫を喚起している。参考となる枠組みを提示しているので、どのように組み立てて、開示するかの自由度は高い。抽象的では伝わらない。具体的にといわれて、何と開示すれば投資家にピンとくるのか。

・まず枠組みを筆者なりに整理しておく。持論であるが、企業価値を創造する仕組みがビジネスモデル(BM)である。現在のビジネスモデルをBM1、将来の姿を描いたモデルをBM2とする。

・まずは将来のビジネスモデルBM2をイメージしてほしい。そのためには、BM1を明確にして、現在の強み、弱みを把握しておく。BM2の達成に向けて、課題となるところをいかに、克服していくか。そのやり方が戦略である。経営資源として強化すべきところ、不足していうところをいかに構築していくか。

・このBM2を構築するための戦略を4つの視点からみていく。第1が経営者の経営力である。第2が企業の成長戦略である。第3が事業のリスクマネジメントである。そして、第4が企業のサステナビリティを支えるESG戦略である。

・さらに、これを人的資本からみていく。つまり、人材戦略に落とし込んでいく。そうすると、経営戦略と人材戦略のつながりが具体化してこよう。

・BM2の達成に向けた人的資本は何か。その資本を資源として手に入れ、育成し、強化していくには、どうすればよいか。この人財戦略を練っていく。現状の延長線上に解はない場合が多いであろう。ないないづくしかもしれない。

・よって、大胆なことはできない。できる範囲でコツコツやっていこうという方針を取りがちである。これでは弱みが強みにならず、競争に負けてしまうかもしれない。自らの存在が危うくなることも想定される。

・人的資本の強化は投資である。投資にはお金がいる。その投資のリターンは何か。いくら儲かるか。リスクはどこまでとるのか。こうしたことを具体的に議論していく。

・どの企業にも人材戦略はある。経験としての反省点は数多くあろう。挑戦したいのは山々であるが、無いものねだりはリスクが高いというより、無謀であると考えてしまうかもしれない。

・投資家は、もっと大胆に独自の人材戦略をとって、強みに変えてほしいと要求する。これは、新製品開発戦略、R&D投資、大型設備投資、M&戦略と同じで、独自性の追求とリスクの低減を同時に達成するための戦略をとってほしい。

・どうしてある企業には人材が集まり、人材が育つのか。別の企業では人材が不十分で、優秀な人がやめていくのか。働き甲斐と働き易さは基本である。誰でも安定と挑戦を求めるが、その程度については、大きな差がある。

・人材には、イノベーターとフォロアがいる。どの企業にも共通する正解はない。今を前提として走る必要がある。しかし、3年あれば相当な変革が見込める。その戦略を開示してほしい。

・まずは経営陣の顔がみえるようにしてほしい。経営陣の経営力を知りたいのである。個人の能力と同時に、会社としての組織能力も知りたいからである。

・人材はどのようにスカウトし、育てていくのか。その仕組みにどのような独自性があるのか。ユニークな方針やこれまでの実績を知りたい。

・成長戦略は誰がリード役になっているのか。現場では誰が主役となっているのか。リスクマネジメントはどのような仕組みで、誰が責任者なのか。的確な判断ができるように仕組みが機能しているのか。そこを知りたい。

・人的資本投資は、定量的にどのように見積もっているか。それはどのくらいのスパンで、どんなリターンをもたらすのか。財務上はバランスシートには載らないが、それを可視化すると、どのような数値になるのか。人材投資収益率、付加価値分配率などの指標で明示してほしい。

・コアとなる人材の価値は高い。一般に企業の人的資本は十分評価されていない。本来ならもっと高い付加価値を生むはずの人材ではないか。それができていないとすれば、ビジネスモデルのどこに課題があるのか。自社だけでなく、サプライチェーン全体をバリューチェーンとしてみた時、構造的課題はないか。そこに押しつぶされてはたまらない。

・企業にはカルチャーがある。これまで培ってきた人材の仕組みがある。社員や役員の多くは、現状を変えたくないと思ってしまう。保守的な仕組みを変革するリーダーが必要である。

・組織の上位、中位、下位にそれぞれイノベーターを配置する必要がある。投資家はここが知りたい。そうすると、その会社の人材戦略が本物か、人的資本投資が大きな成果を生んでくるかが実感できるようになろう。

・企業は、変革の連続の中で生きていく。それが成長に結び付けば素晴らしい。どの企業でも新たな人的資本投資で、自社を一新することができる。もしやらなければ人材が枯渇するだけである。このような視点から、サステナブルで成長する企業を見出していきたい。

 

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