ホーム > ブログ一覧 > バスロケのAI活用はどこまで

バスロケのAI活用はどこまで

   2026.06.16 (火) 7:45 AM

・60歳の時にマイカーは手放した。その前の10年で8000㎞しか乗らなかった。子どもが大きくなってくると、あまり必要でなくなった。当時計算してみたら、マイカーを所有する費用は、タクシー代で月10万円使うのと同じであった。タクシーは今やGO(配車アプリ)を利用すればとても便利である。

・近くにバス停があり、都内のバス通りということもあって、5~10分に1本は来る。バス停の表示も進化し、今バスはどこにいるか、あと何分で来るか、という内容が表示される。スマホでも確認できる。

・待ち時間が分かるので気持ちが楽になる。バスも頻繁に利用するようになった。最寄りの駅まで歩くと15分、若い時は歩きたくなかったが、今は歩数が稼げ、運動になるので、歩くことが苦にならない。

・もちろん地方に住んでいたら、車がなければ生活できない、ということは分かっている。かつて埼玉県の久喜市に住んでいたときは、自家用車2台が当たり前であった。ただ、歳とともに運転するリスクが高まり、運転自体が面倒になってくる。その時に公共交通が便利に使えればよいが、まだまだ十分でない。過疎化が進めば、もっと不便になるかもしれない。

・公共交通には常に2面性がある。1つは、効率よく低コストで移動のサービスを提供する。顧客数がまとまれば、収益性が高まるので、ビジネスとして成り立つ。もう1つは、効率が悪くても、地域住民の生活を守るために、必要最低限の移動のサービスを提供する。

・民間に任せたらビジネスとして成り立たないところから、交通サービスは廃止されていく。利便性が落ちれば、より使わなくなるので、凋落は加速する。ここをどう守るのか。単に補助金を出して、赤字を補填すれば済むのか。新しいイノベーションでサービスを一新して、顧客を増やしていくのか。この仕組みづくりが問われている。

・今年3月に「公共交通オープンデータ最前線2026」というフォーラムが催された。GTFS(標準バス情報フォーマット)というデータをいかに充実させるか。このデータを使って、バス経路を情報利用者にもっと活用してもらうことを目的としている。

・例えば、バスの通行にそって、交通信号を優先的に青にして交通渋滞を避け、時間通りの走行サービスを図る。これは、バスロケーションシステムで信号をコントロールしていく方式を用いる。

・あるいは、バスナビをスマホで簡単に使えるようにする。地域公共交通のデータ基盤の有力な1つであるGTFSを使いながら、スマホで使えるナビシステムを、地域のバス業者が簡単に作れるサービスを提供していく。

・GTFS(General Transit Feed Specification)とは、公共交通のオープンデータを提供する仕様のことである。ここでは、バスの時刻表や地理的情報をオープンフォーマットで提供する。共通のフォーマットで情報が公開されるので、どのバス会社でも最適の経路などを検索して、バスの利用効率を高めることができる。

・ターミナル駅で、どのバスに乗れば目的地にスムーズにいけるか。その乗り場はどこにあるか。遅延などの運行状況はどうか。こうしたバス情報をデジタルサイネージでリアルタイムに表示する。さらに生成AIを活用して、アプリを作り、簡便に利用することができる。こうしたスタディが進んでいる。

・次世代の移動インフラはどうなるのか。マイカーのようにいつでも好きな時に乗って、目的地まで行きたい。しかも自分で運転しなくて、乗せてもらっていくのがよい。タクシーのように個人で利用しながら、公共交通のような料金でサービスを受けたい。

・これまでの常識では、そんなうまい話しはなかった。しかし、これからは、①好きな時に、②安価で、③自分で運転せずに、という3つのハードルがかなり低くなって、便利になりそうである。

・MaaS(Mobility as a Service)は複数の交通手段をアプリで統合して、検索、予約、決済、乗車サービスまでを一体化する仕組みである。オンデマンド交通は、利用者のリクエストに応じて、AIが最適ルートを生成し、乗り合いを最適化してくれる交通方式である。しかも、運転手がいらない自動運転となれば、人手不足へも対応できる。

・そうなると、全く新しい時代が来そうである。1)高齢者の外出促進で健康が維持され、2)交通不便地域の解消で、ローカルな商業や観光が刺激され、3)アプリで簡単に利用できる生活空間が広がる。移動手段が所有価値から利用価値に変わるので、資源の使い方も節約志向となろう。

・AIオンデマンド交通は本当に普及するであろうか。その実証実験に各地域で進められている。NTTドコモビジネスの「AI運行バス」は、スマホアプリで、乗りたい時、乗りたい場所で、誰でも簡単に乗車予約ができる。こうしたシェアリングビジネスを立ち上げようとしている。

・富士通でも、MaaS・デマンド型地域モビリティ交通システムをまちづくりの一環としてビジネス化しようとしている。一部の自治体と実証実験を進めている。

・岐阜に本社をおくレシップホールディングスは、バスの運行管理システム(TMS:Transit Management System)に力を入れている。これまでのバスロケ(バスのロケーションを知るシステム)から、もっと幅広いサービスの提供の舵を切っている。

・1)乗客の利便性向上、2)運行管理の効率化、3)事業者の収益向上の支援、に力を入れていく。MaaSの核となるバス運行システム「LIVU(ライブ)」は、バス運行業務の自動化を進め、ドライバーの労働負荷を軽減させ、サービスの最適化を図る。

・また、CMP(コンテンツ・マネージメント・プラットフォーム)は、チケット発行やデジタルサイネージの配信を行うクラウドシステムで、スマホやサイネージに表示するコンテンツを現場で簡単に作成することができる。

・タクシーのGOなどを利用したことがあれば、デマンドバスの利便性はすぐに理解できよう。ルートが定まっていれば、自動運転の普及は早いものとなろう。

・AIがソフトの開発を一気に早めよう。安全性の確保という点で、ドライバー無しのバスというのはまだ時間を要しようが、ドライバーの負担を減らして、サービスを向上させるTMSはこれから5年で大きく進展しよう。

・バスロケを発展させるTMSは、公共交通システムの利便性を高め、これまでとは違った新しいサービスも登場してこよう。AIでソフト開発が簡単になり、データの取得、利用も充実してくるので、バスの利用機会が飛躍的に増加することも期待される。

・マイカーの実稼働時間を考慮するならば、マイカーよりマイバスの方が、経済性が高くなろう。公共交通の新しい仕組みづくりに挑戦する企業に注目したい。

 

 

Blog Category