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グロースを目指して

   2026.04.27 (月) 10:30 AM

・企業にはもっと成長してほしい。成長しないと活気が出ないし、楽しくない。それは社員も同じで、経営者も株主もそこに責任を持つ。一方で、成熟企業もある。成熟企業には3つのタイプがあろう。1つは、主力の商品やサービスがなくてはならない存在で、リピート需要が中心で安定している。こういう企業は継続しよう。

・2つ目は、新しい領域の開拓を進めているが、まだ十分な芽が出ていない企業である。いろいろ手がけてもうまくいかず、失敗を続けている。その中から次の主力分野が育っている企業もある。3つ目は、本業に頼り、守りの経営を続けているうちに本業そのものが色あせてきて、手を打つにも決め手を欠いて、衰退していく企業である。

・やはり成長は大事である。企業の栄枯盛衰は世の常である。まずは成長を目指して上場してくる。ところが、せっかく上場してきたのに、この後伸びない企業が多い。

・東証の岩永社長(当時)の話をきく機会があった。東証の市場改革はグロース市場にも向いている。2年かけて議論し、方向がまとまった。もっとグロースを加速する市場にするにはどうしたらよいか。

・これまでのグロース市場をみると、1)45%が上場した時の時価を下回っている。約半分の企業は上場時が高値となって、その後伸びていない。これではグロースに値しない。

・2)今のグロース上場企業の時価総額は、60億円が中央値(分布の最も多いところ)で、100億円以下が7割を占める。企業の粒が小さい。小さく上場しても、大きくなってくれればよいが、大半がそうではない。

・国内機関投資家のグロース上場企業の持株比率は1%程度で、ほとんど投資をしていない。時価総額が小さくて、投資対象にならない。100億円以下ではファンドの運用に向いておらず、せめて300億円はほしいという。

・今のグロース市場の上場維持基準は、上場10年、時価総額40億円の確保を考え方の基本としているが、今後は上場5年で時価総額100億円を確保するようにもっていく。

・これまで、グロース市場に上場して時価総額が100億円を超えた企業は、9割が5年以内であった。そこで5年という期間が出てきた。2030年3月以降は時価総額100億円が基準となる。上場維持基準を満たせない企業は、スタンダード市場に移ることが1つの方策となろう。

・とすれば、何が起きるか。第1には、上場維持に火が着くので、本業の成長を加速させるように経営陣には発破がかけられよう。第2に、自力だけで難しいとすればM&Aによる企業再編が進もう。第3に、東証以外の市場で株式流動性を確保することになろう。第4に、非上場に戻して、本業のリストラを本格化させることになろう。

・現状では7割が時価総額100億円以下なので、このままでは7割の企業がいずれ市場から姿を消そう。新規に上場を目指す企業も、5年で100億円以上が視野に入らなければ上場は難しくなろう。ハードルが上がるので、上場企業の新陳代謝が進み、グロース市場としての魅力が増してこよう。

・プライム市場の上場維持基準変更は何をもたらしたか。流動時価総額100億円という基準など、ボーダーラインにある企業は3つの選択を迫られた。

・何としてもプライム市場に残りたいので、①本業の成長加速にアクセルを思い切り踏んだ企業、②努力を試みたが無理と判断して、スタンダード市場に移った企業、③企業の価値向上を図るには、ビジネスモデルの抜本的見直しが必要なので、一度上場廃止して、リストラに取り組んだ方がよいと、MBOを行った企業である。

・グロース市場の上場企業には、機関投資家がほとんどいない。個人投資家が中心である。よって、市場再編が起爆剤となって、割安な企業が浮き彫りになってくる可能性がある。

・個人投資家向けIRも一段と活発化しよう。IRはその企業の良さを中心に訴えてくるので、うっかりすると弱みを見逃してしまう。社長の話をよく聞きながら、課題を見定めていきたい。

・M&AやMBOなどが活発化するので、割安となっていた企業価値が顕在化しやすい。ここに投資のチャンスがある。アクティビストが入ってくる公算も高い。

・まともなアクティビストならよいが、不当に企業を乗っ取ろうという姿勢を見せ、株が上がったところでサッと売り抜けてしまうアクティビストもいる。当初株は上がるので、これについていくと、梯子を外されて損失を被ることになりかねない。目先のフォロアーにならないように注意したい。

・会社に興味があり、投資に時間をかけられる投資家にとっては、今後のグロース市場は面白い。伸びていない企業はなぜ伸びないか。IRで社長の話を聴きながら検討してみる。比較が大事なので、5社、10社と話しを聴いていると、筋の良い会社が目に留まってこよう。

・すぐに動く必要はない。しばらくフォローして、確認していきたい。その上で投資してみると、小型株投資のリターンで妙味が得られよう。

・アクティビストの中でも、エンゲージメントファンドが入ってくるような会社は再生して成長力を取り戻す公算がある。その会社の筋の良さを見抜いて、会社のリストラ、成長投資など価値創造のストーリー作りを支援する。それが成果を上げてくれば、当然株価に反映してくる。より確実なリターンが得られよう。

・アクティビストについては、今の経営陣に対して、敵対的か協働的かをよく見極めたい。敵対的でも、要求していることが、1)企業価値向上にとって本筋か、2)それができそうな道筋はあるか、3)今の経営陣にできるか、を見ていきたい。一方で、自己本位のアクティビストや相場師もいるので注意したい。

・プライム市場の上場維持基準では、ADワークスグループができそうもないハードルを軽々とクリアした。経営陣と社員が一丸となって、本業強化しに取り組んだ成果が一気に出た。さらに次の成長を見据えている。

・グロース市場では、地域新聞社がありえない挑戦に挑んだ。筋のよくないアクティビストを撃退し、スタンダード市場に移った。そこで、本筋の企業価値向上に取り組んでおり、企業の可能性を広げている。今多くの企業が動き出している。今後の展開に注目したい。

 

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