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どんなパフォーマンスを狙うのか

   2026.04.02 (木) 11:41 AM

・パッシブ運用とアクティブ運用のファンドマネージャーの話を聞く機会があった。年金の運用、NISAの運用、投信の運用、いずれの運用商品も将来の生活に関わってくる。

・パッシブ運用は保守的な運用で、インデックス並みのパフォーマンスが期待できる。アクティブ運用はパッシブよりも積極的な運用を目指すので、パフォーマンスもパッシブを上回るはずである。

・ところが、そうはいかないことがある。積極的な運用とは、マーケットの変動よりも高いリスクをとるので、うまくいかない時にはインデックスのパフォーマンスに負けてしまうことがある。

・この勝った負けたをどのくらいのタイムスパンで見ていくのか。3か月単位、1年単位、3年単位、10年単位、どの期間が妥当であろうか。これは、投資家の投資方針に依存する。

・アクティブ運用のファンドマネージャーは、企業を見る目に優れ、それをポートフォリオに組み込んで、独自のポートフォリオを構築する。その能力が高いはずである。つまり、腕のよさが命である。腕がよいのであれば、いい時も悪い時もあるが、長期でみればパフォーマンスはパッシブ運用を上回るはずである。

・しかし、結果として一定期間でのパフォーマンスが今一つであれば、それは腕のよさが発揮できていない。つまり腕が悪いと評価される。経済も企業も生きものである。腕がよいかどうかは、過去のトラックレコードを見るのが一番である。

・これまでパフォーマンスがよかったということは、今後もよいパフォーマンスを実現する可能性が高い。しかし、局面が変わっており、目利き力が落ちていることもあろう。それでも、アクティブ運用で実績を上げているファンドはいろいろある。

・パッシブファンドの場合、どのインデックスに連動するものを選ぶのか。世界全体か、地域別か、国別か、業種別か、テーマ別かなど、さまざまな選択肢がある。ここでも、分散投資の姿勢が問われる。

・公的年金の代表であるGPIFでは95%がパッシブ運用である。また、個人投資家向けを中心とする投資信託の中で、株式公募投信をみると、61%がパッシブ運用である。

・どのインデックスとの連動を図るのか。MSCI World(世界)、S&P500(米国)、TOPIX(日本)などが代表的である。パッシブ運用は、対象とするインデックスとの変動の差(トラッキングエラー)を減らすことに力を入れる。インデックス運用であるから、運用コストも低く抑えられる。

・インデックスとは、その市場やテーマを代表する指数であるから、代表に値する企業が入っている。ダウ平均は30社で少ないようにみえるが、指標としては最も馴染んでいる。S&P500は500社である。日経平均は225社を代表とする。TOPIXは東証上場企業を幅広く網羅しており、現在は約1700社である。

・インデックスに選ばれている企業は、その市場やテーマを代表する1社と認められ、パッシブ運用の売買に従って、必ず一定比率で売買されるから、流動性は高まる。しかし、その会社の個別のファンダメンタルを反映した株価形成とはいえないので、株価がフェアかどうかはわからない。

・アクティブ運用は、ファンドマネージャーがバイ、セル、ホールドを判断してポートフォリオの構成比率を決め、ポートフォリオを構築していく。妥当株価を想定して、割安なら買い、割高なら売るという行動をとる。

・よい会社だから買って、よくない会社になったら売るということではない。会社のよしあしと、株価の売買とは別の要因に基づく。ただし、一般には、よい会社の業績は伸びて、よくない会社の業績は落ち込むことが多いので、将来の株価にはこの業績の変化が反映してこよう。

・投資家は、運用パフォーマンスを上げたい。それには、第一義的に会社の業績をよくしてほしいと願う。業績のよしあしを担うのは、その企業の経営陣である。そこで、過去10年、CGC(コーポレートガバナンスコード)とSSC(スチュワードシップコード)を通して、企業と投資家の対話のあり方が問われてきた。

・アクティブファンドマネージャーは、企業の経営陣と対話して、企業の将来に対する理解を深めつつ、もっと業績をあげるにはどうしたらよいか、もっと株価をあげるには、どんな資本効率の改善策があるのかについて、意見を述べて対話をする。

・この内容が経営陣にピンとくるならば、次の経営に活かされて、それが成果として出てこよう。こうなれば、株価のパフォーマンスにも反映されるので、互いにハッピーとなろう。

・一方で、投資家との対話が経営に活かされないならば、パフォーマンスの向上が限定的となるので、そう判断したファンドマネージャーは、自らのポートフォリオからその企業を外して、別の有望企業を組み込むことになろう。

・アクティブ運用は企業(銘柄)の入れ替えができるが、パッシブ運用ではそうはいかない。パッシブ運用は、インデックスに入っている企業に投資するので、そこには課題を抱えた企業も入っている。

・パッシブ運用はインデックスと同じパフォーマンスでよいというのが原則であるが、それでもパフォーマンスを改善する使命は負っている。つまり、インデックスの中の企業には、1社でも会社をよくしてほしい。目先の業績だけでなく、中長期のサステナビリティを高めてほしいと思う。

・パッシブ運用はポートフォリオの構成銘柄が圧倒的に多いので、全企業と対話するわけにはいかない。一定の基準で会社を選んで対話を進め、その対話を通して、会社の将来の改善を促す。サステナビリティを重視するので、ESGを重要な評価基準とし、議決権行使を通して意思表示を行う。

・最後は、経営陣に対して株主総会を通して賛否を示す。一定比率の反対票が出てくるということは、例え取締役に選ばれたとしても、経営陣に問題あり、という意思の表れとなる。これに対して、経営陣は説明責任を果たし、実績で結果をみせていく必要がある。そうでなければ、いずれ経営者交替に追い込まれよう。

・ファンドマネージャーと経営トップとの対話において、どんなギャップが生じるか。1)もっと大胆な事業戦略は打てないのか。2)資本効率を高める財務戦略を一気に進めてほしい。3)曖昧な説明ではなく、投資家が知りたいことをIRの場で明解に語ってほしい。4)ESG(サステナビリティ)のマテリアリティをさらに突き詰めて、企業価値向上へのストーリーをみせてほしい。5)もっと投資して成長を加速してほしい。なぜそれが十分できないのか、という点が課題となろう。

・投資家にも課題がある。対話であるから、双方の理解が進み、腹落ちしないことは前に進まない。対話が対立して、しこりになるなら、企業価値向上には結び付かない。対話がパフォーマンスの向上に結び付くような双方の力量発揮を期待したい。経営のプロ、運用のプロとして、互いに一流を目指してほしい。

 

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